5月に入り、リトアニアは冬から一気に初夏の気候に移りました。首都ビリニュスの杉原サクラ公園の桜が2001年の植樹以来、初めて満開になりました。5月5日(日曜日)多くの家族連れが芝生の上に敷物を敷き、お花見を楽しみました。この中には、グリボウスカイテ大統領の姿もありました。
この桜は、第二次世界大戦中に、ユダヤ人に「命のビザ」を発給した杉原在カウナス領事代理の生誕100年の記念に杉原領事代理の同窓生である早稲田大学の卒業生が中心となってビリニュスの中心を流れるネリス川沿いに植樹されたものです。その後も植樹が繰り返され、今では約200本の桜が植えられています。しかしながら、リトアニアの冬期の厳しい寒さのためか、桜の生育は余り思わしくありませんでした。その状況を憂慮した早稲田大学出身の橋本稔さんが、2004年以来、毎年春と秋に桜に肥料と愛を注ぎました。そして、今年、見事な満開の桜をビリニュス市民に届けることができました。
リトアニアでは、英語のチェリーにあたる言葉があるにもかかわらず、桜は「サクラ」と呼ばれます。杉原領事代理が命を救ったユダヤ人はリトアニアには住んでいませんが、そのエピソードが今はサクラに形を変えて、リトアニア市民と日本とをつないでいます。
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