►元留学生によるメッセージ ①
早稲田大学に留学し、今春から東芝に就職予定のオクサナ・ヤチュク(Ms. Oksana Jaciuk)さんによる日本語の勉強方法と就職に至るまでのご経験を日本語とリトアニア語で寄稿してくださいました。オクサナさんのご経験が日本語を学ぶ方に参考になれば幸いです。
私が日本に興味を持つきっかけになったのは、お母さんが勤めている会社で取引先の日本人の方がいらっしゃって、日本からのお土産を沢山頂いたからです。こけし、桜、高層ビル、お寺などの葉書を頂いた度に、自然に日本のことを一層強く知りたくなりました。特に広大な東京にある高層ビルの全景は印象深く、幼い頃からビルに囲まれているモダンな町に住む夢がありました。妹も同時に日本に興味を持ちはじめたので一緒に日本の音楽、映画、アニメなどへの関心を徐々に培ってきました。
高校生の1年生になってから日本大使館及び「サクラクラブ」開催の文化イベントのおかげで日本への関心を高め、特に好きな日本語も理解したくなりました。その結果、妹と一緒にヴィリニュス大学の夜間学校で日本語を勉強しはじめました。そこで教えていたアジア研究センターの先生の授業が大変面白く、日本語が上手になりたいという夢も生まれました。しかし、趣味的な勉強と違って、専門家になりたかったので日本学に入学することにしました。
大学の勉強は大変だったにも関わらず、日本語で話す自信も少しずつ積み重ねてきました。日本語能力を試してみる欲ができたので大学の2年生になってから日本人の留学生と話す機会を作るのに力を入れていました。しかしながら、東京に住みたいという夢を忘れずに4年生の時、早稲田大学へ留学が決まりました。早稲田大学を選択した理由は、世界で最も知られている大学の名前はもちろん、日本語教育のプログラムも一番魅力的なことだと思いました。
就職活動をするきっかけになったのは、早稲田大学でした。最初は全然自信がありませんでしたが、就職活動の授業、早稲田大学のキャリヤーセンター、就職活動の勉強に励んでいる周りの外国人の友達の応援があったので挑戦してみました。普通は1年の交換留学生ではなく、日本で正規留学生として勉強している外国人しか就職活動しませんが、ヴィリニュス大学で身に付けた日本語能力のおかで困難を乗り越えました。
留学中は授業や卒論の勉強や就職活動の面接などで忙しかったが卒業ができ、全体的に三つの内定を頂いたので挑戦する価値があったと今でも思います。一番大変なことと言うと、就職活動の流れや細かいところを知らずに日本人と競争し合うということでした。エントリーした40社の中で最終的に5社しか残らなかったので自分にがっかりしたことも多かったと言っても過言ではありません。しかし、過ちから学習しながら頑張り続けていたので、第一希望の株式会社東芝から内定を頂きました。
2015年4月1日にやっと配属の部門が分かります。就職活動の時は電力システムか社会インフラストラクチャーに入りたいとずっと強調してきたので最終的な結果を待ちながら希望通りになると信じています。
►元留学生によるメッセージ②
元留学生によるメッセージNTTコミュニケーションズ株式会社に勤務している元留学生のノルガイレ・マチゥセヴィチューテ(Ms. Norgaile Matuseviciute)さんが、就職に至るまでの日本語の勉強方法や日本での勤務の様子を日本語とリトアニア語で寄稿してくださいました。日本語を学ぶ皆様の参考になれば幸いです。

■日本に関心をもったきっかけ
幼い頃から世界各国の文化及び外国語に興味を持ち、日本という国を初めて知ったのは、おそらく学校の世界史の授業だと思います。
興味を持ち始めたのは、一枚の写真がきっかけでした。日本の都会の風景が撮影されているものです。高層ビルの間に小さな神社が挟まれており、そこにはお参りをする着物の姿の女性が写っていました。当時14歳だった私が、日本という国では先端の技術や文化と昔ながらのものや伝統が共生できることに非常に刺激を受け、感動しました。その後、日本大使館の図書館コーナーへよく足を運び、本やビデオを借りたり、日本の音楽や映画を堪能したり、大使館開催のイベントでボランティアしたり、そして機会があれば、日本人の方々と交流を図ったりすることを通して、日本に対する知識を深めようとしていました。日本のアーティストがヨーロッパで活動する時に、妹とドイツまで行ったりもしました。また、私と同様に日本に魅了された同学年、後輩、先輩等、多くの仲間に出会い、現在元留学生によるメッセージ 現在、日本のNTTコミュニケーションズも「日本」という、強固な絆で結ばれています。
■日本語の勉強方法
日本に関する素材は、遠く離れている小国のリトアニアでは十分とは言えませんでした。 日本語を学ぶことにあたってもそうでした。
あくまでも個人的な経験ですが、日本語学習においては様々な手段を使って、勉強してきました。 当時通学していた高校では、同じ高校の卒業生 (現在日本文化や日本語学校「縁」を運営中)が大学で日本学科に在学していて、週に一回日本語の基礎レッスンを母校に教えに来ていました。そこで初めてひらがな、カタカナ、ベーシック漢字と語順・文法の基礎を学びました。よく大使館から単語集を借りたりもしました。また、リトアニア語で解説された日本語教科書がなかったため、英語での本を手に入れ、夏休み期間中集中して勉強しました。生の日本語を聞く機会が非常に少なかったため、日本の映画、ドラマ、音楽等を聞き取り練習と学習の 素材にし、出来るだけ耳にするようにしていました。
少しだけでもコミュニケーションをとれるようになった時には、日本-ヨーロッパユース交流 プログラムの選考に合格しました。初めて念願の来日機会を5週間ほど与えられ、ホームステイファミリーと3週間くらい暮らし、日本の高校へも通いました。自習等で学んできた日本語をそこで始めて実際に活用することが出来ました。そして、まるで二番目の家族のようになったホームステイファミリーのおかげで、日本語及び東アジアについて本格的に勉強したいと思いましたので、イギリスの日本学科の歴史が最も古い4つ大学の一つ、シェフィールド大学の東アジア研究部へ入学しました。そこでさらに日本語を学びながら、国際関係や経済などを勉強する上、日本語も勉強し続けました。文部科学省奨学金を授与され、大阪大学で一年の留学と研究を進めることができました。
日本語の学習方法は、皆はそれぞれだと思いますが、一番大事なのは、出来るだけ多様な語彙や手法に挑戦してみること、かつ「生」の日本語を耳にすることです。また、日本文化や社会について学ぶことによって、単語の裏に隠れている言葉の源も理解できるようになり、自然で流暢な日本語を喋れるようになると思います。
■NTTコミュニケーションズに入社するまでのいきさつ
日本で就職して、新しい分野に挑戦したいと思ったのは、大学四年生の時でした。就職活動をするために、日本まで行くのは様々な事情で無理があったため、様々な日本の企業や一般法人等へエントリーシートと履歴書を何枚も送っていました。
2013年6月にはロンドンでは、ヨーロッパで唯一「キャリアフォーラム」という、バイリンガル・海外経験のある日本人を対象とする就職活動フェアが開催されました。
私はバイリンガルでも日本人でもありませんでしたが、挑戦してみようと思い、そこで出展している企業の事前選考に申し込みました。事前選考を突破したら、フェア会場では一次面接、二次面接などを受けることができます。インタービューはもちろん日本語で、日本式でした。ここ数年では、スカイプなど、インターネットや電話でもインタービューを受けることが出来る企業も増えつつあり、私もスカイプでインタービューを受けたことがあります。活動フェアにて内定をいくつかの企業から頂き、ITと通信業界を世界中に支えているNTTコミュニケーションズ株式会社に入社することにしました。
■現在の仕事内容
現在は、NTTコミュニケーションズ第四営業本部という部署で、アカウント営業をさせていただいています。グローバルにご活躍されている日本の大手企業のグローバルネットワークを提供し、お客様が直面している経営課題をヒアリング実施の上、解決に導く提案を提示するのが主な仕事です。但しそれだけではなく、言語能力と国際経験を活かし、世界各国に進出されているお客様の対応をしているNTTコミュニケーションズの現地法人の提案サポートも仕事の大きい部分といえます。国境を超える業務、またお客様に世界どこでも日本の高品質をシームレスに提供できるように努力しています。
■生活、仕事で苦労したこと
日本で留学生経験があったため、社会人になっても大きく変わらないかと勝手に思っていましたが、就職してから新しい発見、挑戦、経験や苦戦が次々と続いています。新しい分野においての知識不足はいうまでもありませんが、日本語や日本文化を大学で勉強したにも関わらず、会社での雰囲気や上下関係、仕事上で使われている特殊な用語、ビジネス日本語やお客様対応で使われている敬語など、様々な壁にぶつかっています。
そういうときに、自分の考えや思いを相手にどう分かりやすく説明する、また説得するかの大切さに気づき、伝えたい内容だけではなく、聞き手への配慮の重要さを学びました。社会人という、今まで単語帳でしか見たことがない言葉の意味も理解しました。時間が限られている社会人は、前もって、計画を立てる人が大半であり、それに合わせて、時間管理や計画性を身につけなければならないことに苦戦していました。
また、いまだにも一番苦労しているのは、母国、家族との距離です。時差もあり、連絡したい時にすぐお話できないことや何かあった時に電車かバスに乗って、行けないことが辛いですね。
■日本語を学ぶリトアニア人に対するメッセージ
リトアニアでは、日本語を学べる環境がますます充実し、日本語を勉強する、また上達させるため、様々な機会が設けられることでしょう。
そこで、一つの方法に立ち止まらず、広い視野を持って、目標に向けて努力をしてください。それでも、日本語学習は七転び八起きで、自分の成長を感じないこともよくあります。決して簡単ではありませんが、あきらめずに粘り強く頑張れば、絶対に上達すると思います。そして、言語は生きているものであり、コミュニケーションをとる手段であることを忘れずに、日本人や、日本に興味がある人など、様々な人達に出会い、コミュニケーションを図ってほしいです。そこで間違いなく新たな発見が待っていますから。
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