シモニーテ首相訪日と戦略的パートナーシップ締結を祝した尾﨑大使御挨拶

令和4年11月4日
シモニーテ首相と尾﨑大使
ジーカス在日リトアニア大使と尾﨑大使
皆様

ご存じの通り、リトアニアのシモニーテ首相が先週訪日され、10月26日、岸田首相との首脳会談が行われました。同会談で、両首脳はリトアニア・日本の両国関係の「戦略的パートナーシップ」への格上げで一致しました。これに基づき、外交・防衛当局の参加による「日本リトアニア安全保障政策対話」も新設されました。今年2月のロシアのウクライナ侵攻により世界の戦略環境が劇的に変化し、欧州・大西洋とインド・太平洋の様々な分野の安全保障に統合的な運営が一層求められる中、リトアニアと日本が戦略的パートナーシップに基づくリーダーシップを発揮していくことは、間違いなく世界平和へ資するものとなりましょう。

今年は、リトアニアと日本の友好100年という節目の年であり、次の100年への決意を新たにするタイミングで、このような両国関係の強化が行われたことは、誠に喜ばしい限りです。また来年は、日本がG7の議長国として、リトアニアがNATOサミットのホスト国として、両国が同時に重要なリーダーシップを発揮するという象徴的な年でもあり、この度の「戦略的パートナーシップ」における様々な連携も具体的に加速することとなりましょう。

シモニーテ首相は、4日間にわたる日本訪問において、岸田首相との首脳会談・ワーキングディナーに加えて、西村経済産業大臣、中曽根会長以下日本リトアニア友好議員連盟のメンバーの方々、経団連欧州委員会の佐藤共同委員長以下メンバーの方々、日立製作所東原代表取締役会長(経団連欧州委員会共同委員長)とのミーティングを行い、力強いメッセージの発信と有意義な意見交換が行われました。
またライフサイエンス分野における両国連携の拠点であるAMED(日本医療研究開発機構)と慶応大学病院を訪問され、今後の更なる連携への弾みをつけていただきました。
またこの間、沢山の両国企業の参加による2つのビジネス・フォーラム、一つは「リトアニアージャパン フード・ビジネス・フォーラム」、今一つは「リトアニアージャパン ハイテク・ビジネスセミナー」も、首相のイニシアティブで開催され、改めてリトアニアの強みと今後の企業連携のポテンシャルが広く認識されました。
大学訪問では、訪日最初の訪問として杉原千畝の母校である早稲田大学を選択され、キャンパス内の杉原千畝記念碑において献花式が執り行われました。また東京外国語大学を訪問され、リトアニア語を学ぶ学生への激励と学生全般へのスピーチと質疑を精力的にこなされました。

メディアの注目も高く、数々の日系メディアの取材に加えて、外国人特派員クラブ主催のインタビューでは、スピーチと活発な質疑が1時間にわたって行われ、首相の簡潔明快な語り口を通じて、多くの方々が日本ではなかなか歴史的に聞くことのできなかった今日の世界の安全保障上の姿の基本的理解と健全な危機意識に目覚めたと確信しております。
そしてジーカス大使主催による「日本リトアニア友好100周年記念レセプション」も執り行われ、中曽根議連会長、小丸名誉総領事、大河原名誉領事、飯島内閣参与をはじめ沢山のゲストの方々にも、今回の100周年と戦略的パートナーシップの意義が、シモニーテ首相のスピーチにより改めて共有されました。

この度のシモニーテ首相の訪日、改めまして日本政府を代表して厚く御礼申し上げます。私はメディア取材以外すべての催しに同行させていただきましたが、個人的に最も感銘を受けましたのは、東京外国語大学での学生に対する首相のスピーチの内容でした。まるで国会で所信表明スピーチをされているかのような、今回の訪日で発信されたメッセージがすべて凝縮されたような内容で、それだけに質疑でも極めてハイレベルの質問が飛び交い、時間切れで9問で打ち切らざるを得なかったのが誠に残念でした。
また、在日本リトアニア大使館のジーカス大使にも、この度の首相訪日アレンジにおいては多くのご苦労があったと思われますが、見事に成功裡に導かれ、心より御礼を申し上げる次第です。

今後、我々在リトアニア日本国大使館と在日本リトアニア共和国大使館が、戦略的パートナーとしての具体的な活動に焦点を当てて、更に緊密に連携していく所存です。引き続き、皆様のご理解とご協力を宜しくお願い申し上げます。

在リトアニア日本国大使
尾﨑 哲
 


訪日最終日、すべてが終了し、空港へ向かう直前のホテルオークラにて、ロビーに設えられたリトアニアと日本の国旗の前にて、大変お疲れのところでしたが最後の写真を撮らせていただきました。誠に有難うございました。